集団安全保障と同盟 3
湾岸戦争に際しては、まさにこの2つの仕組みが入り交じって、複雑な様相を呈したのです。
アメリカを中心とする多国籍軍は、ブッシュ大統領自らも認めたように、クウェートやサウジアラビアの安全はアメリカの死活的利害に係わるという集団的自衛権の考え方に基づいて行動しました。
・・・したがって、戦争勃発以前から、アメリカの中ではイラクをどこまで軍事的に叩くかということが真剣に議論されましたが、これは、自衛権の発想に立てば当り前のことなのです。
しかし、その多国籍軍の中心に立ったアメリカは、イラクに対する軍事行動について国際社会の支持を得ることが必要でした。
そのため、安保理決議というお墨付きを得ることを重視したのです。
ところが安保理は、イラクに対する軍事行動がやむを得ないとしても、その内容はできるだけ限定的であるべきだという判断に立ちました。
これもまた、集団安全保障の考え方からすれ/ば当然なことなのです。
ですから、安保理が多国籍軍に対して認めたのは、イラクのクウェートからの無条件撤退と湾岸地域の国際の平和と安全を回復するために「あらゆる必要な手段を取る権限」(1990年11月29日の安保理決議678号)だったのです。